手紙

君の声がした
懐かしい町の香もやって来た
あれから半年
まだにび色に沈む海を見ながら 
故郷を出る事を打ち明けた 
君は、涙するでも無く
ただ 右頬を照らしながらしずんでいく夕日を見つめ
一呼吸の後 
陽に赤く染まった頬を胸に埋めた
今でも、精一杯のつよがりと
大きな息をする小さな体のその温もりを
この腕に感じている
別れとは、思わなかった 
ここに来て生きている事が精一杯で過ごしてきた僕
あの日から恋しさを紬 思いを募らせ
やっとの思いで書いた君からの手紙
僕の事ばかり心配して言いたい事も書かないで
思いは、無邪気な子供のように
心を駆け回り
なだめる事も出来ずにいたんだね
今こうして ページをめくるように
話始めた君は、
手紙より先に笑顔を届けに来たんだね

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